陰陽論

 陰陽は“日向と日陰”ということから、発生した考え方です。

   古代の農耕民族の人々にとって日の当たる場所、当たらない場所とは
 生活の上でとても大きな意味を持っていました。また陰陽の代わりに、
 雌雄が用いられる場合もあります。これらは二つの相反するものが新しい
 生命を産み出すという事から発生したと思われます。

   古代の思想家達は、この宇宙に現れる全ての事象には全て、正と反の
 二面性があると考え、正と反=陰陽の対立や消長の相互関係を、自然界
 の現象を解釈するときの観点としました。
 陰陽論はあらゆる事物を対立と、相互に制約しあう二つの側面から捉えます。
 例えば、上下・左右・天地・動静・昇降・出入・昼夜・明暗・・・

   陰陽とは対立という二者間の相反する一面であり、統一という二者間の制約
 しながらも補完するという関係を現しているものなのです。
 対立がなければ統一はありえず、相反するものが無ければ制約や補完も
 ありえず・・・というわけです。
 対立と統一という事は陰陽が相互に対立し、相互に依存しているという事
 でもあります。左があるから右があり、右がなければ左も存在しない。
 つまり一方の存在によって自己の存在が条件づけられており、片方が単独で
 存在する事はありえません。

   陰陽の対立と制約や相互依存は常に運動と変化を繰り返し、静止している
 ものではなく「陰消陽長」「陽消陰長」の中で相対的な平衡を維持し続けて
 います。これを「消長平衡」と言います。

  ※消長(しょうちょう) 盛衰の意

   全ての事象は絶対的運動と相対的静止、絶対的消長と相対的平衡の中で休まずに
 発生と発展をくりかえしているのです。

   例えば四季の変化を見てみましょう。冬から春、春から夏になるにつれて気温が
 どんどん暖かくなって行きます。これは「陰消陽長」です。夏から秋・秋から冬に
 なるにつれて気温は徐々に寒くなります。これは「陽消陰長」です。しかし一年を
 通してみると、気温は暑さと寒さで平衡が計られている訳です。

   陰陽は相互の消長によって起こる、緩やかな変化だけでなく、一定の条件化では
 それぞれが正反対の方向に転化する事があります。これを「陰陽転化」といいます。

 「陰陽消長」が量的な変化の過程の理論に対して、こちらは質的な変化を指します。
 「素門」:天元紀大論では・・・
 「物の生ずる、之を化といい、物の極まる、之を変という」
 と、述べており
 ・質を変えずに発展することを変
 ・質の異なる物質が生まれ変わることを化
 といっています。

 「物極まれば必ず反す」
  という言葉がありますが 事象は極まると必ず化するという事なのです。

 陰陽転化の一定の条件には「重」または「極」が必要です。例えば春になり気温が
 徐々に上がり夏になると最も暑い日、つまり「極」をもって秋へ(寒冷へ)と移行
 します。冬も寒さの「極」を経て温暖になって行きます。

 上記の事柄は、全ての事象の一部でもある人体にも同じことが言えます。

  人体は有機的な統一体であり、陰陽の対立と統一の関係で成り立っています
 生理機能も陰陽で捉えることができます。生理活動は物資を基礎とする事で
 生理機能が生まれ、生理機能が生まれることで、物質の新陳代謝を促しています。
  人体の生理面では興奮と抑制などかわかりやすい一例でしょう
 急性の熱病などで熱が極度に高くなると体は消耗し高熱が持続すると
 突然、体温が低下し、手足が冷たくなって脈が微弱になり、危険な状態となります。
 この病症変化は陽証が転化し陰証になったものです。

 人体が正常に機能を保っているのは、体の物質と物質、機能と機能、機能と物質
 の間の相対的な、陰陽協調関係が正常に保たれているからなのです。




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